金属熱処理 Q&A
ステンレス鋼(SUS304、SUS440Cなど) / 析出硬化熱処理 / 硬さに関するお問い合わせ
SUS630についてH900は480℃処理しています。この480℃より低い温度例えば400℃で処理したらもっと硬さがアップしますか?

SUS630のH900熱処理(480℃)よりも低い温度での処理が硬さに与える影響について説明します。
熱処理温度と硬さの関係
SUS630の析出硬化熱処理において、400℃での処理は480℃(H900)と比較して、必ずしも硬さの向上につながりません。
主な理由
1. 最適な析出温度
H900処理(480℃)は、SUS630の硬さを最大化するために最適化された温度です。
2. 析出硬化のメカニズム
400℃では、析出に必要な原子の拡散が十分に行われない可能性があります。
3. 時効硬化の特性
400℃付近での処理は480℃(H900)と比較して、同じ処理時間では硬さが低くなる傾向があります。
注意点
長時間処理の影響
400℃でも長時間処理を行えば硬さが上昇する可能性はありますが、過度の時効は靭性を低下させる恐れがあります。
他の特性への影響
硬さ以外の機械的特性や耐食性も考慮する必要があります。
まとめ
SUS630の場合、400℃での処理は480℃(H900)と比較して、一般的には硬さの向上にはつながりません。H900処理は、硬さと他の特性のバランスを考慮して最適化された条件です。
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