金属熱処理 Q&A
ステンレス鋼(SUS304、SUS440Cなど) / 固溶化熱処理 / 析出硬化熱処理 / 真空熱処理 / 硬さに関するお問い合わせ
SUS630とSUS304・SUS316はどう違うのですか?

簡単に言えば、SUS630は高強度を得るための析出硬化型ステンレス鋼で、熱処理により非常に高い硬さ・強度を発揮します。
一方、SUS304やSUS316は熱処理で硬化しないオーステナイト系ステンレス鋼で、強度はSUS630ほど高くないものの、耐食性が高く加工や溶接がしやすいという違いがあります。
SUS630(17-4PH)とSUS304・SUS316では、性質や用途に大きな違いがあります。
まず強度に関して、SUS630は析出硬化処理後の引張強さが約1000MPaを超える高強度材となり、例えば軸や金型部品など高い機械的強度を要求される部品に使われます。
一方SUS304や316の引張強さはおよそ500MPa前後で、SUS630のほぼ半分程度です。
次に耐食性ですが、SUS304・SUS316はニッケルを含みSUS316はさらにモリブデンを含むため耐食性に優れ、海水や化学薬品環境にも適します。
SUS630もステンレス鋼ですので錆びにくいですが、耐食性ではMoを含むSUS316などにはやや劣る場合があります。
また組織の違いから、SUS304・SUS316は非磁性(磁石につかない)のに対し、SUS630は組織中にマルテンサイトを含むため磁性を持ちます。
加工や溶接面では、SUS304・SUS316は延性が高く溶接後も特別な熱処理が不要なのに対し、SUS630は硬化処理が必要な点で扱いが異なります。
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