金属熱処理 Q&A
ステンレス鋼(SUS304、SUS440Cなど) / 固溶化熱処理 / 応力除去焼鈍に関するお問い合わせ
SUS304やSUS316の鋭敏化度の測定について教えてください。

オーステナイト系ステンレス鋼、SUS304、SUS316で発生する「鋭敏化」の度合いを数値で把握するための測定方法が存在します。
この鋭敏化度を測るための数値は再活性化率(Rm)%と呼ばれています。
これはJIS G 0580に準拠した簡便的な測定方法です。
武藤工業株式会社では、このSUS304やSUS316といったオーステナイト系ステンレス鋼の鋭敏化度の測定を承っています。
再活性化率(Rm)%の数値を見ることで、対象の鋼材が鋭敏化しているかどうか、そしてその度合いがどの程度かを判断することができます。
例えば再活性化率が0.0%~5%未満であれば「鋭敏化していない」
5%~15%であれば「軽微な鋭敏化」
15%を超えると「鋭敏化している」と判断される目安を示しています。
実際の測定値の例としては、固溶化処理されたSUS304は再活性化率0.0%
応力除去焼鈍(400℃)でも0.0%ですが
応力除去焼鈍(600℃)では54.78%という高い数値が出ました。
また、市販の焼鈍材でも21.49%という値が実際に計測されました。
これらの数値は、熱処理条件によって鋭敏化の度合いが大きく変わることを示しています。
鋭敏化度を測定することにはいくつかのメリットと考えています。
将来的な腐食に対する不安を事前に把握(顕在化)したり、製品の使用中に発生したクレームの原因調査や対策に役立てることが期待できます。
また、新規の案件や重要部品においては、実際に製品の鋭敏化度を測定し、その結果を検査成績書としてエンドユーザーに納品するといった活用方法も可能ですよね。
このように、鋭敏化度の測定は、オーステナイト系ステンレス鋼の耐食性に関わる潜在的なリスクを確認し、品質保証やトラブル対策に活かすための重要な手段となります。
鋭敏化度を測定できるオーステナイト系ステンレスは限定列挙です。
SUS304(L)・SUS316(L)・SUS321・SUS347
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