金属熱処理 Q&A

 サブゼロ処理 / 伸びる・縮む / 合金工具鋼(SKD11、SKS3など) / 安定化に関するお問い合わせ

SKD11の金型の熱処理について質問です。経年変化対策でサブゼロ処理をしていれば安定化処理をしなくても目的を達成することはできますか?また逆に、サブゼロ処理をせずに安定化処理をすることについても教えてください。

SKD11は熱処理後にある期間放置すると寸法の変化を生じる事が有ります。これを一般的には“経時寸法変化”と言います。

経時寸法変化が生じる理由は、残留オーステナイトがマルテンサイトへ変態する際の膨張によります。

この残留オーステナイトはサブゼロ処理と焼戻しを繰り返すことで、ある程度消失させることができます。ですからサブゼロ処理は、残留オーステナイトを減少させる役割を担っています。

また、残留オーステナイトは“安定した残留オーステナイト”と“不安定な残留オーステナイト”に大別されます。室温において、安定した残留オーステナイトはマルテンサイトへの変態を生じませんが、不安定な残留オーステナイトはマルテンサイトへ変態します。

この“不安定な残留オーステナイト”を“安定した残留オーステナイト”へと変化させ経時寸法変化を防止します。

ですからサブゼロ処理と安定化処理は全くの別物で、経時寸法変化をできるだけ少なくするには、サブゼロ処理の後に安定化処理を施せば良いでしょう.

ですから経時寸法変化対策で考えればサブゼロ処理も安定化処理もどちらも必要な処理になります。

 

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