金属熱処理 Q&A

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インコネル718の熱処理条件について教えてください。

AMS5662によると
固溶化処理
927°C〜1010°Cで加熱保持後、急冷
この状態では比較的軟らかくなります。
20~25 HRC程度


AM5663によると
析出硬化処理
718°Cで8時間保持621℃まで炉令し621℃で10時間保持(合計の時効硬化処理の時間が18時間必要です)
この時効硬化処理により硬さが向上します。40±3HRC程度

 

JISにも記述があります。
JISではインコネル718相当品がNCF718とされています。

NCFは以下の頭文字です。
N⇒ニッケルNickel
C⇒クロムChromium
F⇒鉄Fe

JIS G 4901
附属書表1 熱処理で参考として処理条件を掲げています。
ただし、『この附属書は参考であり、規定の一部ではない』旨をわざわざ付記してあります。
これによると
固溶化処理・・・925~1010℃急冷
時効硬化処理・・・固溶化処理後、705~730℃に8時間保持、610~630℃まで炉令し、さらにその温度で時効後空冷、総時効時間18時間

 

ここで重要なのが
インコネル718の製品自体が従来製造法材(C&W材)と積層造形材(AM材)かによって同じ熱処理をしても得られる結果が異なる可能性があります。
従来の熱処理のやり方が最善かどうか積層造形材(AM材)については検証を要求される場合があります。

方法といては引張試験、クリープ試験、破断面観察、組織観察などがあります。

武藤工業では大学とインコネルの積層造形品に関する共同研究を行っていますので
熱処理をご依頼いただいた製品についての検証を提供できます。


 

 



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