金属熱処理 Q&A

 ステンレス鋼(SUS304、SUS440Cなど) / 割れる・折れる / 固溶化熱処理 / 真空熱処理に関するお問い合わせ

オーステナイト系ステンレス(SUS304、SUS316)の鋭敏化と応力腐食割れは関係あるのですか?

オーステナイト系ステンレス(SUS304、SUS316)の鋭敏化は応力腐食割れの要因の一つになる可能性があります。

 

オーステナイト系ステンレス鋼の「鋭敏化」とは、ステンレス鋼が特定の温度域(約800〜850℃)で加熱されたときに、表面の耐食性が低下する現象です。熱処理(応力除去焼鈍)や溶接時に、この現象が起きやすいです。

▽ダウンロード資料『鋭敏化』の度合い数値で表せます

 

鋭敏化が起こるメカニズムは、ステンレス鋼が500~800℃あたりで一定時間以上に加熱されると、ステンレスの表面を守っているクロムが炭素と結びついてクロム炭化物が作られます。そのクロム炭化物は金属組織の粒界(結晶の境界線)に析出します。その結果ステンレスの結晶粒界付近のクロムが現象します。このことが耐食性を低下させます。

 

応力腐食割れとは、金属にかかる応力(ストレス)と腐食が同時に作用して、金属が割れてしまう現象のことです。『SCC』と呼ぶ人もいます。=Stress Corrosion Cracking

 

鋭敏化と応力腐食割れには以下のような関係がありますか?

鋭敏化によってできたクロムが不足している部分が、ステンレス鋼の耐食性を弱め、応力腐食割れを引き起こしやすくします。特に粒界(結晶の境界線)の腐食が進み、金属が割れやすくなるのです。

 

応力腐食割れを防ぐための方法としては

1、固溶化処理 : 金属を1000℃以上に加熱して急冷します(鋭敏化を取り除く方法)

2、L材(低炭素鋼の使用): 炭素が少ないステンレス鋼(例:SUS304L)を使うことで、鋭敏化のリスクを減らします。

3、定期的検査: 早期に異常問題を発見し、対策を取ることができます。

 

 

武藤工業株式会社では問題の発生を未然に防止するためにオーステナイトステンレス(SUS304・SUS316・SUS321・SUS347)について鋭敏化度を測定できます。

 

▽ダウンロード資料 SUS304熱処理後の引張試験データ

 

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