金属熱処理 Q&A
ステンレス鋼(SUS304、SUS440Cなど)に関するお問い合わせ
SUS316LとSUS316の違いは何ですか?

SUS316LはSUS316に比べて、炭素(C)の含有量が非常に少ないステンレス鋼です。炭素の含有量を抑えることで、高温環境でもさびにくくなる特徴があります。そのため、特に溶接が必要な構造物に適しています。
ステンレス鋼がさびにくい理由は、「不働態皮膜」という表面を覆う薄いバリアが形成されるためです。
このバリアは、クロム(Cr)が酸素と反応することで作られます。
しかし、クロムは炭素とも反応しやすいため、高温になるとクロムと炭素が結びつき、「クロム炭化物」を結晶境界に生成してしまいます。
これにより、周囲のクロムが減少し、その部分で不働態皮膜が形成されにくくなり、腐食が進行しやすい「粒界腐食」が発生しやすくなります。
SUS316Lではこれを防ぐために、クロムと反応しやすい炭素の含有量を最大0.03%と非常に低く設定しています(標準的なSUS316は最大0.08%)。
そのため、溶接による高温部分でも腐食が起きにくく、深い水槽や薬品タンク、溶接構造物、パイプ内装置などに多く利用されています。
「熱処理研究室」は、金属熱処理専門の武藤工業株式会社が運営しています。各種熱処理、熱処理を含む小ロットの加工案件などご相談ください。
お問い合わせ・お見積りはこちらから。
営業エリア:神奈川、静岡、岩手、東京、埼玉、山梨、青森、秋田、宮城、山形、福島など